初代が口癖のように言った 「色のことは誰にも言うめえぞ」という言葉。 三代もそれをかたくなに守っている。 色の調合の秘伝こそが、九谷焼の全てである。 昭和31年初代が亡くなる半年前に、 三代は病床の初代から色の秘伝を教わった。 当時三代は若干22歳であった。 しかし半年という期間は、あまりにも短く 12通りの調合を学ぶだけに終わった。 九谷焼にはもっと多く色がある。 それを学びきる前に初代を亡くし、三代は途方に暮れた。 しかしある時坊さんがあげたお経の一節が 心にひっかかった。 「どこかで聞いたことがある」と三代は思った。 そして初代が残した数冊の手帳の中に 暗号のように残された文字に思い当たったのである。 誰にもわからないように 10文字ある経のそれぞれの字の1部を使って 1〜10の文字を表したのだ。 教わった12色の色を数字に当てはめていき、 ついには100色以上あった初代の色を全て解き明かしたのだった。 その時から三代は、九谷焼製作を運命として受け入れ、 製作に命をかけるようになったという。 (参考 NHK「やきもの探訪」)